寒い………今年の冬はどうかしているのか?
などと、世界を心配するように寒い今日の放課後。

窓の外を見てみると、県内では恐らく平均的な広さを持つ、

この高校のグラウンドは雪でいっぱいだった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

場所は変わって、部室。

「……寒い。」

の独り言に、二人から返答がある。

「あぁ、寒いよな、今日は」

と、柳野(名前は初登場だが、存在自体は以前から登場している)
今日は、いつもの様にハシャグ元気も無さそうだ。
まあ、この極寒の中ではしょうがない。

「そんなに暑い?

と、里居。
毎度ながら言う事がズレている。
アイツと俺の言語の間にはAランクの盾でもあるんだろうか……

ふう、とため息を一つ。



「………。」



「……。」



………



「帰る。」

鬼姉妹がいない以上、俺が此処にいる必要は無い。
というか、あの鬼達がいない内に帰りたい。

と、扉を開けて、外へ出ようとした瞬間。
後頭部へ雪玉が当たった。


「「フフフ……今日の部活は雪ロイヤル!〜戦わなければ、生き残れない!だよん」」


いゃ、名前が長いだろっ!
と、律儀にツッコんだ柳野は雪玉

(音からして、石を詰めてる)に当たり、倒れ伏した。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

さて、現在進行形で三階の23の教室前でソリッてる(ソリッ・スークみたいに頑張ってるの略)が、雪ロイヤル〜戦わ()のルールを要約しよう。

一、敵への攻撃は雪による物しかいけない。

二、防御に、部指定の防具(下敷)以外を使ってはいけない。

三、フィールドは校内。グラウンドは人が多いので出るな。

四、雪玉は一階の教室に二十個ずつ設置してある。
二階の教室には三十個。
以降は一階上がる毎に十個ずつ増えている。

五、勝者は敗者に出来うるかぎりの事を命令出来る。
但し、金銭関係はタブー。

六、降参か、戦闘不能状態・または、下敷を奪われた時点で敗北。
敗者は部室にいてる事。


というルールで、既に柳野が脱落。
残りは俺、里居、田崎先輩と鬼姉妹の五人!
……と、最後は無駄にテンションを上げたが、駄目だったな。

と、俺は教室内に入ると、教卓に置かれている雪玉を配付されたバッグに詰める

……そこで、俺の教室の真下。
二階から物凄い爆発音がした。



いゃいゃいゃいゃいゃ、何故に爆発音

―――俺は、漁夫の利を得るべく、危険な賭けに出た。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



二階、1-5の教室はボロボロだった。

そこで原形を保っている物体は、睨み合ってる三人のみ。



里居VS鬼姉妹の、人外バトルが繰り広げられていた。


って、マジかよ!
何故に、鬼姉妹の雪玉は教室の壁を貫通……って、里居も何故に、雪玉を十連投げ!?





里居の連投により、鬼姉妹Aの脚部・Bの腹部に雪玉が当たる。

(当たった所とか、血が出てるぞ!?おぃ!)

鬼姉妹は怪我に構わず、二方向から里居へ雪玉を投げる。

(そもそも、二対一って卑怯じゃないのか?)

その雪玉が穿つ(結構マジで)は里居の右脇腹と左肩―――!



「「え?」」

鬼姉妹が驚愕する。
里居は、鬼姉妹の雪玉を普通(恐らく普通のハズ)の下敷であろう事か、

的確に弾き返しやがった……!


しかし、さすがは人外姉妹(俺にとっては人害姉妹)
弾き返された雪玉に、自らの雪玉を投げ当て、それらを空中で爆発させる。(何故に爆発!?)

しかし、此処に勝者は決定した。

里居は、既に鬼姉妹それぞれに向けて、連投している。

そう、もし里居が連投を得意としていたら、

相手が驚愕し、怯んだ隙を狙わないワケが無い……!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



で、いつの間にか絨毯の様に転がってる田崎先輩をよそに、俺と里居は対峙している。

里居は鬼姉妹との激闘で、雪玉をほとんど使い果たしたのか、

連投をせずに、まずは一球……って、避けた後にゴォォって音したぞ、おぃ!


そして、俺の背後に里居が回る。


ドン、と。
床に組伏せられ、何故かベルトを奪われる。
………って待て!


「待て!それ以上はいろんな意味で危ない!
ベルトを返せ!
ゃ………降参するから、止めろ!

「……別に降参しなくて良いよ。」



と、里居が完全にのしかかってくる。

「賞品は今貰うから。」

という、悪魔の声がした。



その後、二時間の説得と代案と抵抗により、俺は一線を死守した。

 

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