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In the Future

 

Ein Kampf

 

 

 

―――3分間。それだけの時間だと、俺は言った。

 

「その間―――お前、アレを釘付けに出来るか?

 

「誰に口訊いてやがるんだよ。ガキの癖に生意気だなぁ?オイ。」

 

「出来ないのなら、俺がやっても良いんだぜ?

 

「おーおー。さっきまでボコボコにやられてた癖によく言うねぇ?

 

「目ぇ見えてんのか?さっきは21だったからだろうが。」

 

「そーですか…。まっ、俺としてもアイツとサシで戦りあえるのは嬉しいし?

断る理由は特にないな。お前は、あっちのガキとサシで戦りたいんだろ?

 

「別に…どっちでも良いんだけどさ。ぶっちゃけ、俺にはあの蟲野郎を斃す方法ねーし。」

 

 

数瞬、俺たちの間に沈黙が流れる。

俺の背後にいる人物は、先程の口調とは一変した

―――俺と初めて会った時の様な口調で告げる―――この現状、彼我の戦力差を。

 

 

 

3分か―――保証はできないぞ。」

 

 

 

あぁ、分かってる。アイツは強い…抜きん出ている。

七罪の中でも異常……だが―――

―――それでも、勝ちの目はある。アイツには既に人間としての意識は無い。

本能だけで戦うような―――言ってしまえば、獣と同等の知能。

なら、搦め手なり不意打ちなりも可能な筈だ。

その為には―――あの野郎。アイツを、俺が出来るだけ迅速に斃すしかない。

 

「……蘭、いくぞ。」

 

刹那、俺たちと数十メートル離れて対峙している二人の殺気が、刺してくる。

 

「―――藍原、来るぞっ!

 

「…俺が、雑魚を引き連れる。もう一方、頼んだ!!

 

言って、俺は目を瞑って駆ける。

駆け出した時より、すこし遅れ―――俺の傍を白の閃光が奔る。

その閃光が、敵を分断させると同時。

俺は目を開くと、未だにこちらを視認出来ていない…あの雑魚に向かう。

―――全力を振り絞っての最初の一撃。

 

 

 

「はッ――――――あぁぁぁぁあああ!!

 

 

 

俺は、かつての親友を吹き飛ばした。

 

 

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